その他公開日:2022年10月12日 更新日:2022年10月12日

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)の内容とメリット・デメリットとは?

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)とは、従業員の給与計算業務や年末調整などに関する作業を外部に委託できるサービスです。
給与計算は、専門性が高いうえに法制度に則り対応するなど細かい作業が求められる業務です。給与計算違いや法改正に従わないミスなどがあれば、企業側の経営リスクにもなり得ます。専門的な知識を有した代行会社にアウトソーシングすることで、経営リスク回避とともに、担当者の負担や人的コストを削減でき、大幅な業務効率化を図ることが期待できます。
この特集では、給与計算のアウトソーシングについて、どういった業務を代行してもらえるのか、そのメリットやデメリットを、多くの企業の給与計算業務のアウトソーシングを担ってきた、社労士事務所 なかの経営労務事務所の視点から解説してみたいと思います。

目次

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)の概要

従業員を雇用すれば、給与を支払う必要があり、会社では給与計算をする必要があります。
給与計算には所得税法、地方税法、健康保険法、厚生年金保険法などの社会保険法令、労働基準法などの法的な専門知識が必要不可欠です。また、勤怠集計結果を給与計算に反映し、残業手当、所得税、社会保険料などのチェック、法改正があれば対応するなど給与計算実務はそれなりの業務量となります。
給与計算をアウトソーシングすることで、業務の効率化や正確性の担保をはかることができます。
給与計算のアウトソーシングでは、所得税、社会保険料、残業手当などの計算、給与計算結果のデータや帳票の作成、付随する諸手続き、各種法改正対応等の一連の業務を、外部へ委託(代行・外注)することができます。
※アウトソーシング(Outsourcing)とは、外部(アウト)の資源を利用(ソーシング)することで、委託、代行、外注と同義です。

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)が進む背景

以前は、給与計算のアウトソーシング(代行・外注)は日本ではあまり馴染みのないものでした。2014年の調査(『給与計算アウトソーシング市場に関する調査結果2014/矢野経済研究所 )においても、利用率は20%程度との結果が出ています。
もともと、給与計算をはじめとするアウトソーシング(代行・外注)は、弁護士や会計士など外部の専門性の高い業務をアウトソーシングする風土がある欧米で発展したサービスといわれます。一方、日本では給与などセンシティブな部分に関わるものは社内で行うべきという考え方が根強かったと思われます。
とはいえ近年、企業において、経営の効率化・合理化が求められ、あわせてグローバル化が進む中で、業務の見直しは喫緊の課題となりました。社内においてより中心となる業務を担当できるよう人的リソースの配置シフトが進み、間接業務であるバックオフィス業務を外部委託する流れは強まっています。また人材確保の難しさも顕在化し、間接業務のアウトソーシングを求める企業は多く見受けられます。
実際、給与計算を含む人事・総務関連業務のアウトソーシング市場規模は2014年の5.4兆円から10.4兆円(『人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査を実施2022/矢野経済研究所 ))と拡大し、給与計算のアウトソーシングに対するニーズは高まっていると推察できます。
効率化や働き方改革が進み、さらにはコロナ禍によって、間接業務のアウトソーシングに踏み切る企業も多く、この流れは今後一層進むと言えそうです。

給与計算業務の効率化はアウトソーシングだけなのか

給与計算業務の効率化において、給与計算用に組まれたExcelや、給与ソフトの利用などに取り組まれている企業も多いことでしょう。
特に最近はクラウド型給与計算ソフトも多く開発され、インストールするタイプのソフト(オンプレミス型)に比べ、追加費用なしに法改正に則ったシステム改修が随時行われるなど、煩雑な給与計算業務の効率化をサポートする環境は以前と比べ随分良くなっています。

給与計算ソフトを利用するメリットとデメリット

給与計算ソフトを利用することで、「給与計算の自動化・正確性の向上」「データの保全」、クラウド型給与ソフトであれば「自動で法改正に対応してくれる」などのメリットが受けられます。

一方で、そうしたソフトやクラウドツールを自社で利用する場合であっても、専門的な判断を要する入力業務が自社内に残ったり、自社の給与体系に合わせたカスタマイズを行ったりする必要があります。さらにはシステムの不具合などへの対応も考えると、一定のシステムやクラウドに関する知見を持つ人材が必要となります。こうしたソフトを管理・運用する人員を配置することは、その人員の業務遂行結果等について企業は責任を持つことになります。
また、その人員が不測の長期休暇を取得せざるを得なくなったり退職するリスクを考慮したりすると、給与ソフトを利用することは、大きなデメリットにもなり得ます。
そうした点を踏まえると、給与計算ソフトの導入は業務の作業部分を効率化することはできますが、人的リソースの最適化まで考えると、完全とは言い切れません。
給与計算業務をアウトソーシングする場合であっても、すべての業務をアウトソーシングすることはできず後述のように一定の業務は社内に残ります。しかしながら、特に人的リソースの配置の適正化、コスト、企業の責任等を考慮すると、企業の状況にもよりますが、社内で給与計算ソフトを利用するよりも、アウトソーシング業務を専門的に受注し効率的な運用を行っている事業者へアウトソーシングした方が得策かもしれません。

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)で依頼できる業務内容

アウトソーシングをした場合であっても、勤怠管理、勤怠集計結果や入退社情報の委託先への連絡など、給与計算に関連する委託元の業務がゼロになるわけではありません。
アウトソーシングする為には、アウトソーシングで外部に委託(代行・外注)する業務と、社内で行う(社内に残す)業務にまずは切り分ける必要があります。高度な専門知識を有する業務や社内で行うと手間を要する業務を委託することが理想です。さらに、できるだけ手間なく負担なく委託元から委託先へ連絡し、委託先で給与計算がなされる体制を構築することが理想的でしょう。
では、給与計算のアウトソーシングでは、どこまでの業務を対応してもらえるのでしょうか。
ここでは、なかの経営労務事務所でアウトソーシングを受ける場合に、当事務所が行う主要な業務を挙げて解説します。

A. 法令による勤怠手当の計算

毎月の給与計算に必要なタイムカードの勤怠集計結果より、日給や時給の場合は基本賃金、月給・日給・時給を問わず残業手当、休日出勤手当、深夜手当を計算します。また入退社や人事異動などの情報変更も反映します。

当事務所へ給与計算業務のアウトソーシングを委託される場合、委託前のお客様側の運用を確認し、労働基準法はもちろんのこと就業規則、雇用契約どおりに運用されているか否かを確認します。運用に不都合があれば、お客様と協議の上、あるべき運用を決定して運用していきます。

B. その他、会社独自の手当計算

勤怠手当以外で会社独自の手当が存在する場合は、別途設定(カスタマイズ)を行い計算します。

当事務所が使用する給与システムでは、ある程度の複雑な計算ロジックを設定し運用することが可能です。

C. 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の計算

最新の法令に則り社会保険料を控除します。

社会保険料の計算対象となる手当を特定し、社会保険の随時改定や定時決定データを作成します。

D. 雇用保険料の計算

雇用保険料の計算対象となる手当を特定し、最新の雇用保険法令に則り雇用保険料を計算して控除します。

F. 所得税計算

課税対象となる手当を特定し、最新の所得税法令に則り所得税を計算して控除します。

G. 住民税の反映

個人住民税は、その年の1月1日時点に住所地がある自治体(区市町村)から課税されます。そして、個人住民税の納付の方法には、「普通徴収」と「特別徴収」があります。
「普通徴収」とは、自治体が納めるべき税額などを記載した納税通知書を納税義務者(本人)に送り、これに基づいて税金を徴収する方法をいいます。

「特別徴収」とは、給与支払をする会社が、納税義務者(本人)から税額を徴収して、それを納税義務者の代わりに自治体へ納める方法をいいます。
「普通徴収」とするか「特別徴収」とするか、については任意で決定できない場合があり、従業員が前年中に給与の支払いを受けている場合で一定の例外事項に該当しない場合、会社は原則として住民税を「特別徴収」しなければなりません。
「特別徴収」しなければならない場合、特別徴収額通知書が会社に送付され、特別徴収額通知書に記載された税額を控除する必要があります。当事務所では、特別徴収額通知書に則り住民税額を控除するだけでなく、住民税を納付する為のデータを作成することができます。納付にあたっては、金融機関WEBサイトへそのデータをアップロードすることによりの納付が可能です。
また、退職した場合に普通徴収へ切り替える為の異動届、転職先でも特別徴収を継続する為の異動届、普通徴収から特別徴収へ切り替える為の異動届の作成も可能です。さらに、給与支払報告書についても当事務所で作成することができ、給与支払報告書の各自治体への届出についてはご相談に応じます。
このように、当事務所へ給与計算業務を委託することで住民税に関わるご業務を大幅に削減することができます。

H. その他、会社独自の控除計算

上記の法令で義務付けられた控除以外に、会社独自の控除が存在する場合は、別途設定を行い計算します。

また、遅刻早退控除額や欠勤控除額を算出し支給合計額から控除することも可能です。
当事務所が使用する給与システムでは、ある程度の複雑な計算ロジックを設定し運用することが可能です。

I. 給与計算結果の確認

手当や控除額が正しく計算され、差引支給額が正しいことを確認します。

J. 給与計算成果物のご提供

個人別支給控除一覧(Excel、PDF、紙媒体)、給与明細(PDF、紙媒体、WEB明細)、振込データなどをご提供します。

K. その他の業務

上記以外でも、Excelを使用したツール等を開発し、より一層の業務効率化を進めることが可能です。また、その他にも相談に応じて実施できる業務が多数あります。

給与計算をアウトソーシング(代行・外注)する5つのメリット

当然ながら、委託元にメリットがあるので給与計算をアウトソーシングすることになりますが、ここでは、なかの経営労務事務所が考える給与計算をアウトソーシングした場合の一般的なメリットについてみていきます。

①法令改正の情報収集とその対応業務が大幅に減少します

法改正がなされた場合、社内で給与ソフトを導入し運用している場合は、給与ソフト側で法改正対応のプログラムが無償アップデートされる場合がほとんどです。

しかし忘れてはならないのは、運用するのは担当者(つまりヒト)であることです
システム対応されたとしても、会社としてはアップデート後の給与ソフトへ担当者が適切に入力・計算処理等の対応できているのかを検証する必要があり、検証する為には担当者やその上司である責任者には法改正内容をきちんと理解し運用するスキルが求められます。年々複雑化する年末調整はその最たる例です。
アウトソーシングをすれば、それらの対応は一切不要になります。

②正確性が増し未払い賃金等のリスクが低減されます

社内で給与計算をしている場合、特にトラブルなくなんとなく問題なく運用はできている印象を社内的に持ってはいますが、担当者、その上司である責任者ともに法令に則り間違いなく対応できているという「確信」を持てずに運用しているケースがございます。

「確信」が持てない例として、勤怠は適切に集計できているのか、勤怠の端数処理はどこまで認められるのか、残業代の計算は正しいのか(時間単価にどのような手当を算入するか)、年末調整は正しくできているのか、などが挙げられます。
給与計算結果に誤りが生じ未払い賃金が発覚すると、数年間に渡って遡って支払うリスクがあります。多くの場合で、同じ状況に置かれた複数人の未払い賃金が発覚するケースが多いので、コスト負担は多額になることがあります。
その他に、所得税や社会保険料の一部未納が発覚したり、年末調整を誤ったり、源泉徴収票が誤ってしまい本人に大きな迷惑をかけたりするリスクもあり、社員との信頼関係を損なうことにもなりかねません。
アウトソーシングをすれば、法令に抵触しないよう対応するので、正確性が増し、それらの誤りによるリスクは大きく低減されます。

③トータルコストが削減されます

社内で給与計算を実施すると、給与計算の知識や経験を有する人材を配置しなければなりません。

給与計算担当者を採用しなければならない事態となったときに、採用活動をしていても、経験者を採用できない場合、経験者を採用できたとしても勤務態度に問題があり継続雇用できない場合もあり、採用活動が思いどおりに行かないリスクもあります。採用できたとしても、採用後は、社内規則の変更や法改正等に対応する為にポイントごとに人材教育する必要があります。
さらに、給与システムを切り替える必要がある場合、どの給与システムを選択することがベストであるのか悩む局面もあります。当然給与システムには費用が発生します。
アウトソーシングをすれば、それらのリスクを負ったり、悩む時間(=コスト)が無くなったり、経験者を雇用しなくてよいなどの人件費を削減できたりします。効率よくアウトソーシングできれば、トータルコストを大幅に削減することができます。

④属人化を防ぎます

社内で給与計算を実施すると、業務内容を担当者しか理解しておらず、担当者以外では実施できない業務となり、属人化してしまうケースが多くあります。

給与計算は、労働の対価を従業員に支払うという会社内の最重要業務のひとつです。未払いや遅配は許されません。担当者が不慮の休暇などで長期間不在となった場合であっても、会社としては継続できる体制を構築する義務があるのです。
効率よくアウトソーシングをすれば、属人化を防ぎ、担当者が不在であっても継続的に給与計算を実施できる体制を構築することができます。

⑤コア業務に専念できます

アウトソーシングをすれば、上記のような本業と関係の無い悩みを抱えたりリスクを負ったりする必要がないので、コア業務に専念することができます。

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)をお勧めする理由

上記では給与計算のアウトソーシングのメリットを見ていきました。当事務所としては給与計算のアウトソーシングをさらにお勧めする理由が次の2つあります。アウトソーシングのメリットをもう少し深堀してみていきましょう。

①担当者とその責任者をコア業務と関連の無い専門業務から「解放」すべき

給与計算は本人に対する給与支払だけでなく、国に納める所得税、住民税、社会保険料の計算の基礎になるなど、関連が多岐に渡っており、間違いが発覚すると影響が多岐に及ぶことがあります。

また、会社で勤務するヒトにはそれぞれ役割があります。担当者は給与計算の実務を滞りなく正確に行う役割があります。しかし、その担当者が出来る範囲内で最善を尽くしても、誤りに気づけず、未払い賃金、所得税や社会保険料の一部未納、源泉徴収票の誤りによる住民税等の計算誤りなどが発覚することがあります。それを未然に防止するための措置を講じる役割は、担当者の上司、つまり責任者です。結局、担当者と責任者の双方に給与計算に関する専門知識は必要なのです。
会社が担当者と責任者にその役割を継続的に担ってもらい、給与計算を間違いなく実施し続ける為には、今まで述べてきたとおり、会社には採用や人材育成などの大きな業務負荷、またコスト負担やリスクが発生します。担当者やその責任者が有する給与計算に必要な専門知識や経験が、他の社内業務で役立つのかも疑問です。人材育成やキャリア形成の観点からも、コア業務とは関係の無いものはできるだけ外部委託し、担当者とその責任者をコア業務と関連の無い専門業務から解放した方が長い目で見て効果的でしょう。その為にはアウトソーシングが有効であると考えます。

②属人化による「担当者任せ」の「弊害」から解放されるべき

特に中小企業においては、給与計算が属人化するケースがほとんどです。その上司である責任者も担当者を信頼しきっていることから業務内容を十分にチェックしていないケースもあります。いわゆる「担当者任せ」です。担当者任せは短期的には非常に楽ですが、担当者任せにしておくと、次のような弊害があります。

  • ・担当者の不慮な休み(病気、家族の不幸など)に対応できない
  • ・担当者の突然の退職に対応できない
  • ・担当者が気付かない限り、誤りに気付けない
  • ・仮に担当者が不正をした場合に不正の内容に気付けない
  • ・人間関係等のトラブルから担当者が会社と対立して辞めることとなった場合に、担当者がいなければ給与計算が実施できないことを交渉材料にされ、慰謝料や追加退職金などを要求される
上記は実際に存在するケースです。会社は属人化による担当者任せの弊害から解放されるべきであり 、その為にはアウトソーシングが有効であると考えます。

給与計算のアウトソーシング(代行・外注)のデメリット

このように、給与計算をアウトソーシングすることで、得られるメリットは大きいと考えます。一方でデメリットはないのでしょうか。

①給与計算に関わる業務の全てを委託できるわけではない

アウトソーシングをした場合であっても次の業務は会社内に残ってしまいます。

  • ・勤怠管理は、法令に基づき事業主に義務づけられている事項が多いことから委託することができません。
  • ※勤怠管理をする会社が勤怠集計する必要がある(集計の過程で勤怠管理誤り等が把握できる場合がある)と当事務所では考えていることから、当事務所では勤怠集計の委託を受けていません。
  • ・入退社情報は雇用契約の締結、解除等の結果である為、雇用契約の当事者である会社で把握する必要があります。よって、入退社情報を会社で得た後、委託先へ連絡(共有)する必要があります。

②突発事項の即座対応には不向き

突発事項に対して即座に対応したい場合などは委託先で即座に対応できない場合もあり、即座対応の部分では、自社内処理に比してアウトソーシングの方が時間を要する場合があることも認識しておいた方がよいでしょう。

貴社に給与計算のアウトソーシング(代行・外注)が必要かを検討するポイント

以上のように、給与計算のアウトソーシングについては多大なメリットや、ある程度のデメリットがあります。では、どのような企業や課題がある場合にアウトソーシングを検討すべきでしょうか。いくつかの目安をご紹介します。

①創業期に人材が不足している場合

創業期には、多くの場合で顧客を増やし売上・利益を上げることが喫緊の課題となります。経理担当を配置することすら困難が場合もあります。経理担当を配置できたとしても、役員報酬額をはじめとした個人情報を多く取り扱う給与計算業務を任せて良いか悩ましいケースもあります。

創業期には給与計算などの管理業務の不要なコスト発生や経営リスクを負うこと等を避けることを目的としてアウトソーシングを検討するケースが多いでしょう。

②従業員数が30名以上に増えるなど経理担当の片手間で給与計算することが困難になった場合

企業の置かれた状況により異なりますが、例えば従業員数が30名以上に増えた場合など、総務部や人事部を置くほどでもありませんが、入退社が一定数発生したり、以前と比べて社内でコンプライアンス意識が高まったりするなど、給与計算業務が以前に比して煩雑となるケースがあります。

経理担当が片手間で給与計算を行っている場合、経理担当が片手間で行う領域は超えてしまい、経営リスクを負うこと等を避けることを目的としてアウトソーシングを検討するケースが多いでしょう。

給与計算を社労士に社労士にアウトソーシング(代行・外注)するメリット

給与計算は、税理士事務所、会計事務所、社労士事務所などで実施していますが、ここでは社労士事務所へ委託するメリットについて説明します。

社労士以外に給与計算のアウトソーシーングを依頼するメリット・デメリット

創業期には税理士事務所・会計事務所に税務申告の代行や税務上を含めた経営アドバイスを受けるケースがあるかと思います。従業員を雇用することになれば役員報酬に加えて、従業員の給与計算が発生します。日頃からお世話になっている税理士事務所・会計事務所へ税務申告の代行に加えて給与計算を委託することで円滑に給与計算アウトソーシングを実施することができ、これが税理士事務所、会計事務所へアウトソーシングを依頼する最大のメリットと考えています。

一方、従業員数が増えてくると、社会保険手続きの発生件数が増加したり、コンプライアンス意識が高まることから労基法などの労働関係諸法令をより強固に遵守する必要が出てきたりします。それらは社労士が専門であり、税理士事務所・会計事務所では対応できず、これが最大のデメリットであると考えます。

社労士に依頼するメリット

人事労務の施策や社会保険手続きを円滑に実施できるよう事業主を支援する為の専門家(国家資格者)が社労士(社会保険労務士)です。

社労士に給与計算のアウトソーシングを依頼することで、入退社時の社会保険・雇用保険の手続きや、給与計算から派生する労働保険・社会保険手続(社会保険の定時・随時改定、賞与支払届、労働保険料の申告等)なども合わせて依頼したり、労働基準をはじめとした労働関係諸法令に対応するためのアドバイスや労使紛争の未然防止策に関するアドバイスを受けたりすることも可能です。
給与計算に関係する法律としては、所得税法、地方税法のみならず、労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、最低賃金法など多岐に及びます。
社労士とは、労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法など50種類以上の法律に基づく手続き書類を、会社に代わって作成し提出代行することが国から認められている国家資格者です。
入退社が発生すると、健康保険・厚生年金保険、雇用保険の資格取得や喪失手続きが発生します。一年に1回、健康保険・厚生年金保険料の定時決定、労働保険の年度更新手続きが発生します。その他にも随時すべき手続きが多数あり、手続きごとに書類の作成や提出が発生し大変煩雑です。それらの手続きを含め社労士に委託することで、アウトソーシングの効率が大幅に上がりメリットを享受できます。さらに次のようなメリットもあります。

  • ・社会保険料計算に関かわる手続きを代行し、さらにその結果を切れ目なく給与計算に反映できる
  • ・雇用契約の締結、36協定、就業規則、勤怠管理などを含めた労務管理のアドバイスを受けることができる
  • ・その他、従業員の採用から退職までの間について、法解釈や法令に則った運用を中心とした相談をすることができる

企業ごとの状況によりますが、10人から30人以上の人数規模の場合、社会保険手続きの件数が増えたり、労務管理の重要性がより一層増したりしますので、社労士への委託が得策かもしれません。

社労士に依頼する場合のデメリット

自社内で給与計算を実施している場合で経理担当者が片手間で処理が可能であり特に問題無く処理ができていたり、税理士事務所・会計事務所へ給与計算を委託している場合で特に新たな課題や負担がなく処理が出来ていたりする場合は、新たなコストをかけて社労士へ依頼する必要は無いでしょう。

コスト増は最大のデメリットでるので、新たなコストをかけずにそのまま進めるべきと考えます。

アウトソーシング先を選ぶポイント

創業期から給与計算を税理士事務所・会計事務所へ委託している場合で、従業員数が増えてきた場合(例10人以上)は、社会保険手続きの発生件数が増加したり、労基法などの労働関係諸法令をより強固に遵守する必要が出てきたりするので、社労士へのアウトソーシングを検討した方が良い場合があると考えます。

また、企業の置かれた状況により異なりますが、例えば従業員数が30名以上に増えた場合など、総務部や人事部を置くほどでもありませんが、入退社が一定数発生したり、以前と比べて社内でコンプライアンス意識が高まったりするなど、経理担当者が行っている給与計算業務が以前に比して煩雑となるケースでは、経営リスクを負うこと等を避けることを目的として社労士へアウトソーシングを検討した方が良い場合があると考えます。

まとめ

給与計算業務のアウトソーシングをするか否かは、管理業務の中でも主要業務の一つである給与計算業務を、自社で雇用する従業員に行わせるのか、それとも専門性の高い外部組織へ委託するのかを選択することです。
今まで解説したとおり、給与計算を自社内で行う場合やアウトソーシングをする場合にはメリット・デメリットがあります。
企業の置かれた状況から、人員の適正配置、コスト負担、経営リスクの回避などの観点から、アウトソーシングをするのかしないのか経営判断をすることとなります。とりわけ、自社内の従業員数が増えてきたことから、入退社の社会保険手続きが増えたり、労務リスク回避の観点から各種労務相談に応じてもらったりしたい場合などは、社労士にアウトソーシングすることをお勧めいたします。