労働基準法 更新日:2023年11月13日

労働条件通知書・雇用契約書の書式を変更する必要があります

10月12日に厚生労働省より2024年4月からの「労働条件明示のルール変更」に関する施行通達等が公表されました。
現行法では、「雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りる(平2.1.29基発第45号) 労働基準法解釈総覧改訂16版P163」とされていましたが、2024年4月からは「就業場所・業務の変更の範囲」等を明示する必要があります。
改正事項は次の4つです。

  • (1)就業場所・業務の変更の範囲の明示
  • (2)更新上限の明示
  • (3)無期転換申込機会の明示
  • (4)無期転換後の労働条件の明示例
  • ※(1)は全ての労働者に対する明示事項(2)は有期契約労働者に対する明示事項等

概要は次のURLよりご確認いただけます。
【PDF】2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(厚生労働省)

本件に関して10月に新たに次のパンフレット、Q&Aが公開されたのでご紹介します。

【PDF】2024年4月から労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(厚生労働省)

【PDF】令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A(厚生労働省)

上記のパンフレット、Q&A、通達より、比較的重要と思われる事項について抜粋して解説します。

    (1)就業場所・業務の変更の範囲の明示

  • ・「就業の場所及び従事すべき業務」とは、労働者が通常就業することが想定されている就業の場所及び労働者が通常従事することが想定されている業務をいい、配置転換及び在籍型出向が命じられた場合の当該配置転換及び在籍型出向先の場所及び業務が含まれます。
  • ・「変更の範囲」とは、今後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の変更の範囲のことをいいます。
  • ・労働者がテレワークを行うことが通常想定されている場合には、テレワークを行う場所が就業の場所の変更の範囲に含まれます。
  • ・既に雇用されている労働者に対して、改めて労働条件を明示する必要はありません。
    ※新たな明示ルールは、今般の省令・告示改正の施行日である2024年4月1日以降に締結される労働契約について適用されます。
  • ・変更の範囲の明示が必要となるのは、2024年4月1日以降に契約締結・契約更新をする労働者となります。
    ※契約の始期が2024年4月1日以降であっても、2024年3月以前に契約の締結を行う場合には、改正前のルールが適用され、新たな明示ルールに基づく明示は不要です。(Q&A1.2より)
  • ・就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲とは、当該労働契約の期間中における変更の範囲を意味します。このため、契約が更新された場合にその更新後の契約期間中に命じる可能性がある就業の場所及び業務については、改正労基則において明示が求められるものではありません。
  • ・「変更の範囲」の明示は、就業場所・業務がどの程度限定されるかにより記載が異なります。
記載例は次のURLのP4からP6でご確認頂けます。
【PDF】2024年4月から労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(厚生労働省)

(2)更新上限の明示

  • ・有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)がある場合には、その内容の明示が必要になります。
  • ・改有期労働契約の更新上限を定めている場合にその内容を明示することが求められており、更新上限がない場合にその旨を明示することは要しません。
  • ・更新上限を新たに設けようとする場合、更新上限を短縮しようとする場合には、あらかじめ(更新上限の新設・短縮をする前のタイミングで)更新上限を設定する・短縮する理由を労働者に説明することが必要になります。

記載例は次のURLのP8でご確認頂けます。

【PDF】2024年4月から労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(厚生労働省)

(3)無期転換申込機会の明示

  • ・「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、該当する有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)を書面により明示することが必要になります。
  • ・初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も、有期労働契約を更新する場合は、更新の都度、上記の明示が必要になります。
モデル労働条件通知書は次のURLのP20でご確認頂けます。
【PDF】2024年4月から労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(厚生労働省)

(4)無期転換後の労働条件の明示

  • ・「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を書面により明示することが必要になります。
  • ・明示する労働条件は、労働契約締結の際の明示事項と同じものです。
  • ・明示方法は、事項ごとに明示するほか、有期労働契約の労働条件と無期転換後の労働条件との変更の有無、変更がある場合はその内容を明示する方法でも差し支えありません。

モデル労働条件通知書は次のURLのP20でご確認頂けます。

【PDF】2024年4月から労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(厚生労働省)

詳細は次のURLよりご確認頂けます。

令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます(厚生労働省)