その他 更新日:2024年4月10日

身近な労働法の解説 ―LGBTとSOGI―

5月17日は「多様な性にYESの日」(国際的には「LGBT嫌悪に反対する国際デー」)です。
また、6月は「プライド月間」(LGBTQ+の権利を啓発する活動が世界中で開催される月)です。
今回は、労働施策総合推進法に基づく指針における性的指向・性自認に関するハラスメント防止について解説します。

1.LGBTとSOGI

(1)LGBT・LGBTQとは


性的指向としてのレズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシュアル(両性愛者)と、性自認としてのトランスジェンダー(心と出生時の性別が一致しない人)の頭文字を取った言葉です。

クエスチョニング(性のあり方を決めない人・決めたくない人)もいます。

(2)性的指向・性自認(SOGI)とは


恋愛感情または性的感情の対象となる性別についての指向のことを「性的指向(Sexual Orientation)」、自己の性別についての認識のことを「性自認(Gender Identity)」といいます。

この頭文字であるSOGI(ソジ・ソギ)は、すべての人が持つものです。
LGBTは当事者のみが対象で、SOGIはすべての人が持っている属性です。
男性に惹かれる人・女性に惹かれる人・どちらにも惹かれる人・どちらにも惹かれない人と、恋愛対象はすべての人それぞれです。
また、「自分は男性(女性)」と思う人もいれば、「どちらて?もない」「どちらでもある」と思う人もいます。
身体的な性とSOGIの組み合わせは実に多様で、また、それぞれの性(身体・指向・自認)にはグラデーションがあり、時に揺れ動くものでもあります。

2.労推法(パワハラ防止)におけるSOGI

均等法(セクハラ防止)のほか、職場におけるパワハラ6類型の中で、該当するまたはしないと考えられる例のうち、SOGIに関連して次のようなものが挙げられています。

◆精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
該当すると考えられる例:
人格を否定するような言動を行う。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む。
◆個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
該当すると考えられる例:
労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する。
該当しないと考えられる例
労働者の了解を得て、当該労働者の機微な個人情報(上記)について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す。
※SOGIに関する言動やSOGIに関する望まぬ暴露(アウティング)は、職場におけるパワハラの定義を満たす場合には、これに該当します。
SOGIに関する侮辱的な言動は、特定の相手だけではなく、周囲の誰かを傷つけます。
自らのSOGIについて他者に伝える「カミングアウト」をしていない人がいることに留意しましょう。
自身を含めたすべての人の人権として捉え、尊重することが大切です。