その他 更新日:2024年12月23日

【2024年11月】フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行されます

フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が2024年11月1日に施行されます。
まずはフリーランス新法が施行されるに至った経緯を外観し、フリーランス新法の目的、フリーランス新法の内容の順に解説します。

フリーランス新法が施行されるに至った経緯

内閣官房が2020年に実施した「フリーランス実態調査結果」では、フリーランスは462万人存在すると試算されました。

【PDF】フリーランス実態調査結果(内閣官房)
※一番最後のP25に人数が掲載されています。

フリーランス新法施行前でもフリーランスへの業務委託等に対して、独占禁止法やその特別法たる下請法などが適用されています。
独占禁止法はフリーランスとの取引に適用の余地がありますが、公正取引委員会が優越的地位の濫用につながる恐れがあるとして注意した件数は、2022年度で55件、令和2023年度で67件と増加傾向にはありますが、二桁に留まっており何百万と存在するフリーランスを救済することは期待できそうにありません。
【PDF】公正取引委員会の最近の活動状況(公正取引委員会)
※P26に令和元年度から令和5年度までの優越的地位濫用注意件数が掲載されています。
下請法は、その適用対象となる親事業者の範囲を資本金1,000万円以上の額で絞り込み、独占禁止法と比較してより迅速に下請事業者の保護を図ることとしています。
また、下請(親事業者が行として行う業務を下請業者に委託)する場合にしか適用されず、事業者が自らの事業とは異なる業務をフリーランスに委託する場合(例:社労士事務所がホームページの新規作成やその後の更新を委託する場合など)には適用されないといった問題があります。
【PDF】知って守って下請法(公正取引委員会)

独占禁止法、下請法の各種パンフレットは次のURLよりご確認頂けます。
各種パンフレット(公正取引委員会)

上記より、働き方の多様化が進み、フリーランスという働き方が普及する中、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とし、独占禁止法や下請法では保護が十分に図れないフリーランスに係る取引の適正化及び就業環境の整備を図るためにフリーランス新法が施行されます。

【フリーランス新法の目的】

フリーランス新法は、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備するため、

  • (1)フリーランスの方と企業などの発注事業者の間の取引の適正化 と
  • (2)フリーランスの方の就業環境の整備
を図ることを目的としています。

  • ※フリーランス新法の対象となる「フリーランス」とは、 「個人であって従業員を使用しないもの」、「 法人であって一の代表者以外に他の役員がなくかつ従業員を使用しないもの」のことです。
  • ※「従業員を使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇用することです。
    労働者派遣の派遣先として、上記基準に該当する派遣労働者を受け入れる場合も該当します。
    なお、事業に同居親族の みを使用している場合は該当しません。

【フリーランス新法の内容】

フリーランス新法に規定された、発注事業者側の義務と禁止行為は次のとおり定められています。

  • (1)書面等による取引条件の明示<
  • (2)報酬支払期日の設定・期日内の支払、禁止行為
  • (3)募集情報の的確表示
  • (4)育児介護等と業務の両立に対する配慮
  • (5)ハラスメント対策に係る体制整備
  • (6)中途解除等の事前予告・理由開示
フリーランス新法の概要は次のURLよりご確認頂けます。
【PDF】フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタート!(厚生労働省)

例えば「(1)書面等による取引条件の明示」については、次の内容を書面等により明示することが義務付けられます。

  • ・業務委託事業者および特定受託事業者の名称
  • ・業務委託をした日
  • ・特定受託事業者の給付の内容
  • ・給付を受領または役務の提供を受ける期日
  • ・給付を受領または役務の提供を受ける場所
  • ・給付の内容について検査する場合は、検査を完了する期日
  • ・報酬の額および支払期日
  • ・現金以外の方法で報酬を支払う場合は、支払方法に関すること

フリーランスは、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省に対して、発注事業者に本法違反と思われる行為があった場合には、その旨を申し出ることができます。

申出を受けた行政機関は、その申出の内容に応じて、報告徴収・立入検査といった調査を行い、発注事業者に対して指導・助言のほか、勧告を行い、勧告に従わない場合には命令・公表をすることができます。
命令違反には50万円以下の罰金があります。
なお、 発注事業者は、フリーランスが行政機関の窓口に申出をしたことを理由に、契約解除や今後の取引を行わないようにするといった不利益な取扱いをしてはなりません。

詳細は次のURLよりご確認頂けます。
【PDF】ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法(厚生労働省)
フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(厚生労働省)
フリーランス法特設サイト(厚生取引委員会)