雇用保険公開日:2023年12月14日

雇用保険の適用拡大に関する見直しの方向性(案)が示されました

第187回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、雇用保険の適用拡大に関する見直しの方向性(案)が示されました。
2023年内に厚生労働省の同労政審で原案を示し、2024年の通常国会に関連法案を提出した上で、2028年度までに雇用保険の適用拡大等をする方針のようです。
見直しの方向性(案)では、次の5つが示されており重要と思われる4つを紹介します。
【PDF】これまでの議論の整理と見直しの方向性(厚生労働省)
  • 1.週所定労働時間20時間未満の労働者について、雇用保険の適用を拡大し、雇用のセーフティネットを拡げてはどうか
  • 2.適用拡大の範囲については、給付と負担のバランスのほか、申請手続等を含む事業主の負担や被保険者の増加に伴う制度運営コスト等も踏まえ
    検討してはどうか。
      ※仮に週所定労働時間10時間以上まで適用拡大した場合は最大約500万人が、15時間以上まで適用拡大した場合は最大約300万人が新規適用となると見込まれる。
  • 3.新たに適用拡大により被保険者となる層の給付は、現行の被保険者と同様とし、適用要件を満たした場合、失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象としてはどうか。
    週所定20時間以上の被保険者と給付対象を同様のものとする以上、保険料率等についても同水準として設定することとしてはどうか。
  • 4.現状、週所定20時間の労働者を基準に設定されている(1)被保険者期間の算定基準、(2)失業認定基準、(3)賃金日額の下限額、最低賃金日額等については、適用拡大の範囲に対応したものとして見直すこととしてはどうか。
なお、参考資料1において、雇用保険未適用である短時間労働者(20時間未満)の実態として次のデータが示さています。
【参考資料1/PDF】雇用保険の適用拡大について(厚生労働省)
  • ・短時間雇用者(20時間未満)数の推移 P55
    ここ数年は横ばいで推移しているものの、2013年以降増加を続けており、雇用者総数に占める割合も増加傾向。
  • ・短時間雇用者(20時間未満)の状況(就業時間別)P56
    週間就業時間が20時間未満である雇用者は718万人(2022年)。

  • ・短時間雇用者(20時間未満)の状況(就業時間別、男女別)
    男女別にみると、女性が7割超を占めており、男性は3割弱にとどまっている。
    就業時間別にみると、週10時間以上の者が、女性はおよそ7割、男性はおよそ6割を占めている。

  • ・短時間雇用者(20時間未満)の状況(年齢階級別、男女別)
    年齢階級別にみると65歳以上が最も多く、特に男性では34.3%を占めている。
    女性も65歳以上の割合が最も高いが、40~64歳の各年齢階級で10%前後の割合となっている。
    詳細は次のURLよりご確認頂けます。

第187回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(厚生労働省)