【PDF】新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(内閣府) 令和4年第8回経済財政諮問会議(内閣府) 以下、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」について、企業実務や社会保障制度に関する内容についてをピックアップして紹介することと致します。 (1)賃金引上げの推進
①賃上げ税制等の一層の活用 P5
民間企業のより積極的な賃金引上げを支援するための環境整備として、賃上げ税制について税額控除率を大胆に引き上げる。
税制の効果が出にくい、赤字の中小企業の賃金引上げを支援するため、ものづくり補助金や持続化補助金において、赤字でも賃金を引き上げた中小企業への補助率を引き上げる特別枠を設けたほか、政府調達において、賃金引上げを行う企業に対して、加点を行う等、調達方法の見直しを図った。
これらの取組とあわせて、賃金引上げをより一層推進していく。
④副業・兼業の拡大 P7
成長分野・産業への円滑な労働移動を進めるため、さらに副業・兼業を推し進める。
このため、労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を支援する観点から、企業に副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、情報開示を行うことを企業に推奨する。
(5)多様性の尊重と選択の柔軟性
①多様性の尊重 P9
同一労働同一賃金制度の徹底とともに、短時間正社員制度、勤務地限定正社員制度、職種・職務限定正社員制度といった多様な正社員制度の導入拡大を、産業界に働きかけていく。
②男女間の賃金差異の開示義務化 P10
男女間の賃金の差異について、以下のとおり、女性活躍推進法に基づき、開示の義務化を行う。
- ・情報開示は、連結ベースではなく、企業単体ごとに求める。
- ・男女の賃金の差異は、全労働者について、絶対額ではなく、男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示を求めることとする。加えて、同様の割合を正規・非正規雇用に分けて、開示を求める。
- ・男女の賃金の差異の開示に際し、説明を追記したい企業のために、説明欄を設ける。
- ・対象事業主は、常時雇用する労働者301人以上の事業主とする。101人~300人の事業主については、その施行後の状況等を踏まえ、検討を行う。
- ・本年夏に、制度(省令)改正を実施し、施行する。初回の開示は、他の情報開示項目とあわせて、本年7月の施行後に締まる事業年度の実績を開示する。
④勤労者皆保険の実現 P10
企業規模要件の段階的引下げ等を内容とする令和2年年金制度改正法に基づき、被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大を着実に実施する。
さらに、企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討する。
フリーランス・ギグワーカー等への社会保険の適用については、被用者性等をどう捉えるかの検討を行う。
その上で、労働環境の変化等を念頭に置きながら、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的に検討を進める。
(6)人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化と指針整備
人的資本をはじめとする非財務情報を見える化し、株主との意思疎通を強化していくことが必要である。
企業側が、モニタリングすべき関連指標の選定と目標設定、企業価値向上との関連付け等について具体的にどのように開示を進めていったらよいのか、参考となる人的資本可視化指針を本年夏に公表する。