その他公開日:2026年4月20日

労務行政調査では3年連続でベアと初任給引き上げを実施する企業が急増

一般財団法人 労務行政研究所が2026年3月に公表した「賃金改定と報酬制度の見直しに関するアンケート」(197社回答)から、企業の賃金動向と人件費管理の実態が明らかになりました。

ベースアップは3年連続実施が65.5% 定着しつつある「構造的賃上げ」

2025年にベースアップ(ベア)を「全員に実施した」企業は66.5%に上り、2024年と同水準を維持しています。

さらに、2023年以降の3年間でベアを実施した回数が「3回」という企業が65.5%と最多となりました。
かつては「景気が良い年だけ実施する」という印象が強かったベアですが、今やほぼ毎年実施することが企業の賃金政策の標準になりつつあります。
ベア原資の確保方法(複数回答)については、「業容拡大に伴う利益増加分」が44.3%で最多、「生産性向上やコストカットに伴う利益増加分」が43.7%、「価格転嫁に伴う利益増加分」が35.9%と続きました。
注目すべきは「社内留保の活用や資産売却など企業からの持ち出し」が32.9%に上っている点で、利益だけでは賄いきれず自社の蓄積を切り崩してベアを実施している企業も少なくない実態が見えます。

初任給引き上げも3年連続が61.1% 在籍者賃金の調整が課題

2025年に初任給(大学卒)を引き上げた企業は83.2%と非常に高い水準で、2023年以降3年連続で引き上げを実施した企業も61.1%に達しています。
採用競争の激化を背景に、初任給の引き上げはもはや「選択肢」ではなく「必須対応」になりつつあると言えるでしょう。
一方で、初任給引き上げに伴う人件費コントロール策として注目される「賞与の給与化」の実施率はわずか3.9%にとどまりました。
これに対し、在籍者との賃金バランスを調整する「在籍者賃金の調整」を行った企業は57.1%と過半を超えており、初任給だけを引き上げることによる社内の賃金逆転現象への対処が各社の課題となっています。

9割超の企業が「人件費は増える」と予測 抑制策は「労働時間削減」が最多

今後3年間の人件費見通しを尋ねたところ、1人当たり人件費が「増える」と回答した企業は95.9%、総額人件費が「増える」とした企業も91.4%にのぼりました。

人件費増加はほぼ避けられない前提として、経営計画に織り込むことが求められています。
人件費を抑制するために検討している施策(複数回答)としては、「業務効率化等による総労働時間の削減」が65.0%で最多となり、「報酬制度の改定」(25.9%)、「新規採用数の削減」(12.7%)が続きました。
詳細は次のURLよりご確認頂けます。
労務行政研究所「賃金改定と報酬制度の見直しに関するアンケート