その他公開日:2025年7月22日

公益通報者保護法が改正されます

「公益通報」とは、企業などの事業者による一定の違法行為を、労働者(パートタイム労働者、派遣労働者や取引先の労働者などのほか、公務員も含まれます)・退職後1年以内の退職者・役員が、不正の目的でなく、組織内の通報窓口、権限を有する行政機関や報道機関などに通報することをいいます。
この度、近年の事業者の公益通報への対応状況及び公益通報者の保護を巡る国内外の動向に鑑み、以下の4点について公益通報者保護法の改正が行われることとなりました。
なお、改正公益通報者保護法は2025年6月11日に公布され、公布の日から1年6月以内で政令で定める日から施行されます。
1.事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上

  • ・従事者(※1)指定義務に違反する事業者(常時使用する労働者の数が300人超に限る)に対し、現行法の指導・助言、勧告権限に加え、勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設する。【第15条の2、第21条、第23条関係】
  • ※1 従事者とは、内部通報の受付・調査・是正を主体的に行い、 通報者を特定させる事項を伝達される者をいいます。
  •   具体的には、内部通報受付窓口の担当者や責任者などが該当します。
  •   公公益通報をした人を特定できる情報は、従事者以外は扱えません。

【PDF】従事者の指定が事業者の義務に(消費者庁)

  • ・上記事業者に対する現行法の報告徴収権限に加え、立入検査権限を新設するとともに、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設する。【第16条、第21条、第23条関係】
  • ・現行法の体制整備義務の例示として、労働者等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務を明示する。【第11条関係】

2.公益通報者の範囲拡大

  • ・公益通報者の範囲に、事業者と業務委託関係にあるフリーランス(※2)及び業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスを追加し、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いを禁止する。【第2条、第5条関係】
  • ※2 フリーランスの定義は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」第2条を引用して規定。

3.公益通報を阻害する要因への対処

  • ・事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることを禁止し、これに違反してされた合意等の法律行為を無効とする。【第11条の2関係】
  • ・事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることを禁止する。【第11条の3関係】
4.公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化

  • ・通報後1年以内(※3)の解雇又は懲戒は公益通報を理由としてされたものと推定する(民事訴訟上の立証責任転換)。【第3条関係】
  • ※3 事業者が外部通報があったことを知って解雇又は懲戒をした場合は、事業者が知った日から1年以内。
  • ・公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)を新設する。法人に対する法定刑を3,000万円以下の罰金とする。【第21条、第23条関係】
  • ・公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に対する不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)を新設する。【第9条、第21条、第23条関係】

詳細は次のURLよりご確認頂けます。

公益通報者保護法の一部を改正する法律(概要)(消費者庁)
公益通報者保護法と制度の概要(消費者庁)