令和7年人事院勧告を受け、通勤手当に係る所得税の非課税限度額の改正が遡って行われる可能性が示されました。
遡って改正される場合は年末調整での対応が必要となる可能性があり実務において大きな負荷がかなります。
以下、解説をしていきます。
自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の非課税限度額は、所得税法施行令第20条の2で具体的に規定されています。
所得税法施行令(e-gov)
2025年8月7日に令和7年人事院勧告が行われ、2025年4月1日以降の措置内容として、自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の額の引上げが次のとおり勧告されました。
なお(2)の具体的な引上げ額等は次のとおりです。
詳細は次のURLよりご確認頂けます。
令和7年人事院勧告(人事院)
人事院勧告が所得税法に与える影響は法令等に明確に規定されていないようですが、所得税法第9条第1項第5号(非課税所得)に規定されている「一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」の判断基準として、人事院が定める国家公務員の通勤手当支給額が準用されているのが実務上の慣行のようです。
よって、国税庁では次のとおり注意を促しています。
「この人事院勧告を受け、今後、通勤手当に係る所得税の非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります。年末調整を行う前には、本ページで最新情報を必ずご確認いただきますようお願いします。」
通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)
2025年4月よりマイカー通勤の非課税限度額が遡及適用されることは現時点(2025年9月29日時点)で未定です。
2025年4月よりマイカー通勤の非課税限度額が遡及適用される決定がなされた場合は実務における影響は甚大です。
今後動向を注視する必要があります。
遡って改正される場合は年末調整での対応が必要となる可能性があり実務において大きな負荷がかなります。
以下、解説をしていきます。
自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の非課税限度額は、所得税法施行令第20条の2で具体的に規定されています。
所得税法施行令(e-gov)
2025年8月7日に令和7年人事院勧告が行われ、2025年4月1日以降の措置内容として、自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の額の引上げが次のとおり勧告されました。
- (1)自動車等使用者について、65㎞以上から100㎞以上までの区分(5㎞刻み)を新設(上限66,400円)
- (2)現行の「60㎞以上」までの距離区分についても、民間の支給状況等を踏まえ、200円から7,100円までの幅で引上げ
-
(3)1カ月当たり5,000円を上限とする駐車場等の利用に対する通勤手当を新設
※(2)は2025年4月実施、(1)および(3)は2026年4月実施
距離 | 現行 | 改正後 | 差額 |
---|---|---|---|
5㎞未満 | 2,000円 | 2,000円 | 引き上げなし |
5㎞以上10㎞未満 | 4,200円 | 4,200円 | 引き上げなし |
10㎞以上15㎞未満 | 7,100円 | 7,300円 | +200円 |
15㎞以上20㎞未満 | 10,000円 | 10,400円 | +400円 |
20㎞以上25㎞未満 | 12,900円 | 13,500円 | +600円 |
25㎞以上30㎞未満 | 15,800円 | 16,600円 | +800円 |
30㎞以上35㎞未満 | 18,700円 | 19,700円 | +1,000円 |
35㎞以上40㎞未満 | 21,600円 | 22,800円 | +1,200円 |
40㎞以上45㎞未満 | 24,400円 | 25,900円 | +1,500円 |
45㎞以上50㎞未満 | 26,200円 | 29,100円 | +2,900円 |
50㎞以上55㎞未満 | 28,000円 | 32,300円 | +4,300円 |
55㎞以上60㎞未満 | 29,800円 | 35,500円 | +5,700円 |
60㎞以上 | 31,600円 | 38,700円 | +7,100円 |
令和7年人事院勧告(人事院)
人事院勧告が所得税法に与える影響は法令等に明確に規定されていないようですが、所得税法第9条第1項第5号(非課税所得)に規定されている「一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」の判断基準として、人事院が定める国家公務員の通勤手当支給額が準用されているのが実務上の慣行のようです。
よって、国税庁では次のとおり注意を促しています。
「この人事院勧告を受け、今後、通勤手当に係る所得税の非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります。年末調整を行う前には、本ページで最新情報を必ずご確認いただきますようお願いします。」
通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)
2025年4月よりマイカー通勤の非課税限度額が遡及適用されることは現時点(2025年9月29日時点)で未定です。
2025年4月よりマイカー通勤の非課税限度額が遡及適用される決定がなされた場合は実務における影響は甚大です。
今後動向を注視する必要があります。

システム関連に強く、人事総務部門のトータルアウトソーシングのプランニングおよび受託を得意とする。さらに、人事労務系のコンサルティングに力を入れており、人事制度構築コンサルティングのほか、M&Aコンサルティング等、企業の経営企画部門、人事労務部門の双方の支援をしている。